歯科医業と経営感覚

歯科医業と経営感覚

 

前回の記事では「歯科医院の営業体験」について弊社における既存のお取引医院様のインタビューをお伝えしました。

 

そこで、今回はそのお話から少し発展して「歯科医院」の医業としての経営感覚について、お話したいと思います。

 

 

歯科医院における「営業」

 

歯科医院においてはもともと「営業」という観念が育ちにくいのはよく知られています。

 

基本的には、診療科目と時間の告知以外の広告宣伝を禁じられてきたので、他の業種のように「新規顧客の開拓」という概念そのものが育ちにくい現状があります。

 

元患者さんからの評判や、HPの充実などが主な方法と考えられているのではないでしょうか。

確かな技術と誠実な対応により実績を積むことで、自然と紹介が拡がることが多いので、一般的な「営業」という言葉をあまり意識されたことがない、という院長先生がほとんどだと思います。

 

 

元より、来院した人はほぼ全て治療を受けるので、特に「成約のための営業」も必要ありません。

 

カタログ販売方式はNG

 

唯一あるのは、治療法のオプションについて、医院側が行いたいと思っている治療法を選んでもらえるかどうか、ということについては「営業活動」があります。

 

ここで気を付けたいのは、「選択可能な治療方法をいろいろと提示し患者に選ばせる」という「カタログ販売方式」は、一般的に「患者」にとっては、一見よさそうに見えて実は後々あまり良い評判には繋がらない、ということです。

 

患者にとっては、その時の事情によって「とりあえず今は・・・」という選択が出来るので、親切な歯科医院のように思われるかもしれませんが、その結果、治療個所に不具合が出来た時などに、歯科医業の「腕」の問題と判断されるのは十分に想定されうることです。

 

残念ながら、診療中の患者さんの目の前に資料などを拡げ「治療法を選んでください」と言われて困った、という患者さんの声を耳にすることも現実にさほど珍しい事ではありません。

 

そういう時、患者の心理としてはどう反応してどう考えると思われますか。

 

身近で起きたケースの場合

実際に耳にしたケースについてお話しますね。

 

◆まず、その場は「時間を下さい」で応急処置に留める

 

◆次に 家族や周囲の知人などに相談する。

家族も知人も普通は歯科医業従事者ではなく判断材料がないため、

他の医院で「セカンドオピニオン」を得るように勧めるしかない。

 

◆結果、

最悪の場合はその患者は「セカンドオピニオン」を得るつもりで訪れた歯科医院で適切な治療法を明確に説明してもらえた場合、その医院に乗り換える。

治療に戻ってきて、患者自ら選択した方法で治療法を受ける。

 

但し、先にお話した通り、

その後不具合が起きた場合、患者は自分の選択の間違いであったとは絶対に考えません。

そしてその患者は、

その後、何度かは再診を受けるかもしれませんが、

再診を繰り返せば繰り返すほど、医院に対して「腕が悪い」という印象を拭いきれなくなります。

 

次に何が起きるかと言えば、

知人や家族に「腕が悪い」という悪評を拡げることになり、

そうなると防ぎようもなく本来の「腕」と関係なく評判は拡がります。

ほとんどの開業医は地域に根差した診療を主としていますので、

「経営」に暗雲が立ち込めることにもなりかねません。

 

従って、

歯科医が、その時の最善最適で持続性のある方法を勧めず、患者に治療方法を選ばせる

という行為は、

医療従事者としてまた経営者として

取り返しのつかないことになるリスクを孕んでいることになります。

 

更に言うと・・・

勤務医に「カタログ販売」をさせたケース

 

「勤務医にはノルマを課しているの?」とか要らぬ疑いを招くことになり

もっと印象が悪くなっているのを、知人からも聞いたことがありますし、

何度か街の立ち話で耳にしたこともありました。

話している等の本人たちの様子は最悪ですので、

周囲で耳にした人達がどう感じるか、といえば想像に難くありません。

 

どんなことでも、悪い話は拡がるのが早いです。

 

立ち話とは言え、同じ町に住む人がたまたま耳にしてしまえば

「営業優先で評判が悪い歯科医院」という印象を払拭する機会は二度と訪れなくなります。

 

望ましい「再来院」は、治療を完了し「患者」という立場を卒業したあと、

大きな信頼関係を築いて「予防」のために定期的に通ってくれることですよね。

 

患者の立場としても、本音は同じです。

「出来ればまた治療を受けるようなことになりたくない」と望んでいることに変わりはないので、

その点の工夫が、先生方の経営手腕の真骨頂ということになると思います。